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India Insights

インド市場を見る眼~現地からの報告~
2019年08月07日
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    マーケットサマリー

    インド株式市場は6月以降は売り優勢の展開となっている。米中貿易摩擦を 巡る不透明感や国内景気の鈍化などがマイナス要因。一方、債券市場は、インフレ率の低位安定と インド準備銀行(中央銀行)の金融緩和などを背景に、上昇(利回りは低下)を続けている。

    トピックス:施行3年目の破産倒産法はなお「仕掛中」

    インドが破産倒産法を導入してから3年が経過したが、政府は、時間的制約のある破綻処理を効果的に進める ために、未だに法律の微調整と法の抜け穴を塞ぐ作業を続けている。インド議会(7~8月が会期)上下両院 では、政府提出の「2016年破産倒産法(IBC, Insolvency and Bankruptcy Code)」に関する最新の改正 法が成立した。改正法によって、有担保債権者の優先弁済権が復活する。

    今回の法改正によって、債権者委員会に倒産処理における債務者の財産の分配に関して明確な権限が付与され る。つまり、これまで認定されてきた債権者の優先順位が維持されることになった。

    今回の破産倒産法改正法はインドにとって特に重要なものとなった。それは、巨額の負債を抱えて倒産したイ ンドの鉄鋼大手が破産倒産法のもとで再建手続き中であったからだ。同社の破綻処理を巡ってインド会社法上 訴審判所(NCLAT)は債権者委員会の決定を覆し、同社の財産は全債権者に平等に分配されるべきだとの審 判を下した。これによって、有担保債権者は無担保債権者及び事業債権者と同等に扱われることになった。そ して、NCLATの審判で、有担保債権者である金融機関の債権回収率は90%前後からわずか60%に減少する可 能性が生じた。財務相はこの審判について「深刻な法解釈上の問題」があるとコメントし、政府に破産倒産法 の立法趣旨に変更がないことを明確するために、改正法案の提出を求めた。

    政府は、その後、他の改正点も盛り込んだ新たな破産倒産法改正法案を議会に提出した。改正点には、企業破 綻処理期間を330日までとすること、それに伴う関連する法律、訴訟手続きなどの改正、さらに再生計画がす べての利害関係者に対して拘束力を持つことを明記することも含まれた。

    破産倒産法は破綻処理期限を当初は270日間としていたが、実際の処理期間はそれを大幅に超えていた。その 主な原因は、破綻処理の関係者たちによる上級審判所への控訴合戦であった。財務相は、約12件の大型倒産 で破綻処理期間が600日以上に及んだことを明らかにしている。最新の破産倒産法改正法にはいずれも法律の 効果と効率を高めることを目指す7項目の改正点が盛り込まれた。

    最新の破産倒産法改正法は格付け機関から評価されている。このため、インド国内金融機関に対する格付けの方向性が「ポジティブ」に変更されることが期待されている。国内金融機関が処理しなければならい不良債権は2,000億米ドル相当に上るとされている。

    前進はしているものの、ゴールはまだ遠い

    破産倒産法は、さらなる改正・修正が必要とされているものの、インドの債務処理メカニズムに体系的な改善をもたらしたという点では高く評価されている。かつては、法体系が未整備のままで適用法があったとしてもほとんど役に立たなかった。

    債権回収期間の短縮で26%まで低下していた平均回収率は、破産倒産法施行から3年目の現在は43%まで上昇している。

    インド破産倒産委員会(IBBI)によると、4,452件は、借り手が破産倒産法に基づく破綻処理が開始される前にデフォルト(債務不履行)相当分を債権者に弁済して解決に至ったという。それが、金融機関の新規不良債権の増加ペースの減速につながっているとも言われている。

    さらに、破産倒産法の施行以来、インドは世界銀行グループが「ビジネス環境の現状(Doing Business)」年次報告書で発表する「破綻処理」ランキングを2014年の134位(その後数年間ほぼこの位置にとどまっていた)から2019年には108位へと上昇させている。強力な破綻処理法と効率的な債権回収メカニズムの推進がビジネス環境の改善の証しとして世界的に認められたことになる。破綻処理ランキングは、海外勢が直接投資先や資産運用先を選ぶ際に重要な決め手の1つとしている。

    政府は破綻処理期限を330日間と設定しているが、処理能力を超える訴訟件数を抱えるインドの裁判制度がその期限内に破綻処理を終えることができるかについては疑問視されている。会社法審判所の法廷数とスタッフの数、さらに債権回収審判所の数を増やすことがインドの破綻処理プロセスの改善を促進するうえで重要な対策と思われる。

    破産倒産法は施行からの3年の間に著しい前進を遂げてきた。政府も、破綻処理法制の将来の「成功」のために関連する規制機関・制度について必要な微調整を続ける意思を明確にしている。不良債権のタイムリーな処理、破綻処理プロセスの持続的改善を可能にする国内環境の整備はインドにとってこれからも優先課題と言える。

    図表1インドの不良債権総額の40%は破産倒産法(IBC)による破綻処理

    (兆ルピー)

    リスト1
    破産倒産法による
    破綻処理負債(左軸)
    リスト2
    銀行貸出総額に対する比率
    (右軸)
    総計
    不良債権総額に対する比率
    (右軸)

    出所:インド準備銀行、クレディスイス(2019年5月現在)