ESG Essentials
ESG投資の5つの誤解 vol2
ESGにまつわる5つの誤解 vol2
誤解③: ESG投資では非常に限られた選択肢しかない
事実:ESGファンドの運用コストは過去10年間で着実に低下しています。2018年から2020年までの期間におけるESGファンドのカテゴリー別の平均総コスト率は、非ESGファンドとほぼ同水準でした。さらに、ETFのカテゴリーで見ると、ESGファンドの平均総コスト率は非ESGファンドよりも低水準でした。
ESGファンドと非ESGファンドの平均総コスト率
2020年12月15日現在
出所:リフィニティブ・リッパ-、ポートフォリオ・アドバイザー
誤解④:ESG投資は慈善活動と変わらない
事実:ESG投資はチャリティとは本質的に異なります。慈善事業が主に助成金や寄付を通じて社会的課題に取り組むのに対し、ESG投資は、主に投資プロセスにおいてESG要素を考慮してリスクを低減すると同時に成長機会を見出すことで長期的なリターンを高めることを目的としています。
ESG投資は投資リターンと社会的利益を両立させる
出所: 「ESG Investing: Practices, Progress and Challenges」、Boffo, R., and R. Patalano (2020)、OECD.
誤解⑤:投資家は企業の意思決定に影響を与えることはできない
事実: 企業の意思決定において、株主のエンゲージメントは重要な役割を果たしています。
特に、多くの機関投資家は企業のESG方針を強化するためにその影響力を積極的に行使しています。
例えば、HSBCアセットマネジメントでは、株主として企業へ積極的に働きかけた多くの成功事例があります。
- 2019年にニュージーランドで暴力事件がソーシャルメディアでライブ配信されたことを受けて、HSBCアセットマネジメントはソーシャルメディア企業と連携し、より強固なリスク管理の確立へと繋げました。これに続いて、主要SNSプラットフォーム2社は、その管理アプローチをより明確なものへと発展させました。
- HSBCアセットマネジメントは世界的なレストランブランド4社と面談し、 各社の炭素排出量に対する懸念を伝えました。そのうち数社は、植物由来のたんぱく質素材を使用したメニューや製品をその後発売し、利益を生み出し始めています。
2020年、HSBCアセットマネジメントの企業エンゲージメントにおけるESGテーマ
企業との面談で議論された割合(% )*
2020年12月31日現在
*ESG関連のトピックが議論された会議の割合。同一の会議で複数のトピックが取り上げられるため、合計は100%になりません。
出所:HSBCアセットマネジメント
結論
ESG投資は、社会的利益を長期的に持続させながら投資リターンを得ることを目的としています。
機関投資家がESG投資に注目するのは、ESG要素を投資戦略に組み込むことで、リターンを損なうことなくリスク管理を強化できるからです。
ESG投資戦略が徐々に主流になるにつれ、低コストの個人投資家向けの商品も増加しており、選択肢も増えています。