ハウスビュー
はじめに
今回は、グローバル経済の長期的なトレンド変化という重要な局面でのアップデートである。長期にわたる景気低迷、システミック・リスク懸念、2010年代の低インフレ時代などを牽引してきた多くの要因が弱まっている模様である。インフレ率は低下するものの、インフレ目標値を継続的に下回るのではなく、中期的には時折跳ね上がる特性を有する「インフレ・スパイク」期に入りつつある。
このような体制の変化は、明らかに人口動態によってもたらされるものであり、高齢化が進むと貯蓄が減り労働力の確保も難しくなる。持続的な供給サイドのショック、1990年代型ハイパー・グローバリゼーションの終焉、一段と複雑化する世界秩序、気候変動政策の強化といったさまざまな長期的要因により、インフレ率は2~3%のレンジに留まることになるであろう。このことは、政策金利がこの先10年間、構造的に高めで推移することを示唆している。しかし、必ずしも投資家が想定しているような水準になるとは限らない。
短期的には「より高くより長く」という金利シナリオは、進行中のインフレ鈍化と景気後退に伴い、困難に直面するリスクがある。
最近の資産価格の反落にもかかわらず、現在のバリュエーションには、依然として欧米の主要国経済がソフトランディングに向かうとの見方が織り込まれている。しかし、金融政策が限られていることや、企業業績の大幅な悪化リスクがあることから、投資家にとり、今後数ヶ月間は「まだ楽観はできない」状況が続くものと思われる。
また、リスク・プレミアムが大幅な調整局面を迎えているため、投資家は配分を見直す必要に迫られている。全体としては、グローバル株式ではディフェンシブなポジションでクオリティと利回りを重視したい。債券については、「債券の投資妙味の復活」局面と考える。利回りは上昇し、タームプレミアムは再びプラスに転じている。しかし、良質なセグメントにおいては、景気後退局面でもアウトパフォームする傾向がある。さらにファンダメンタルズが健全な発行体のバランスシートのもと、デフォルトが限定的と思われる優良銘柄については、投資妙味の高いキャリー機会を得られる可能性がある。
最後に、株式と債券の相関関係がプラスであるなか、ポートフォリオを最適化する賢明な分散投資が機能すると考える。資産クラスや地域を越えて、通常とは異なる投資機会を探り当て、重要なメガトレンドを見極めて資産配分を行うことは、強靭なポートフォリオを生み出す上で、ますます重要になっている。
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ザビエル・ バラトン
グローバル最高投資責任者
CIO
「この先10年は、これまでの10年とは全く違うものになるであろう。金利の『より高くより長く』という状況がリスク・プレミアムに与える影響により、投資家は戦略的な資産配分の練り直しを迫られる。」
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