主要新興国債券指数へのインド国債の組み入れ
200億米ドル超の資金流入期待
2023年09月26日
まとめ
- 2023年9月21日、JPモルガンはEMBI、GBI-EM、CEMBIシリーズを含む新興国債券指数に額面総額3,300億米ドルに上るインド国債、23銘柄を組み入れると発表しました。
- 組み入れは2024年6月28日から2025年3月31日までの10ヶ月間に行われ、インド債券市場に200億~220億米ドルの資金が流入すると予想されます。
- GBI-EMグローバル・ダイバーシファイド・インデックスへのインド国債の組入比率は最大10%となる見込みです。
- この発表を受けて、インドルピー建て債券が上昇する可能性があります。米ドルが弱含む可能性やインド準備銀行(RBI)が保有する外貨準備高が豊富であることを勘案すると、今後数ヶ月間でインドルピーが上昇する可能性が高まっていると思われます。
- インド国債は、世界国債との相関がわずか0.10と非常に低く、グローバルな債券ポートフォリオにおいては高い分散効果が得られると考えます。
- インド国債のパフォーマンスは、過去5年および10年間で新興国国債と世界国債の両方を大幅に上回っています。
JPモルガン新興国債券指数へのインド国債の組み入れ
発表内容- 2023年9月21日、JPモルガンはEMBI、GBI-EM、CEMBIシリーズを含む新興国債券指数にインド国債を組み入れると発表しました。
- 2024年6月28日に組み入れを開始し、2025年3月31日までの10ヶ月間にわたり毎月約1%の比率で行われます。
- 各指数におけるインド国債の組入比率は、GBI-EMグローバル・ダイバーシファイドで最大10%、GBI-EMグローバルで8.7%、GBI-EMグローバル・ダイバーシファイドIG 15%キャップで14.59%となる見込みです。その他の新興国債券指数においても変更が予定されています(図2を参照)
- インドが加わることで、各指数の構成国の一部で組入比率の低下が予想されます(図1を参照)
- 2024年6月28日に開始し、対象となるのはインド国債23銘柄で額面合計額は3,300億米ドルに上ります。
- 2024年6月28日には、FAR*を通じて発行された2026年12月31日以降に償還を迎える国債が、指数組入の適格性を審査されます。組み入れ期間中に新規発行されるFAR国債の組み入れも想定されています。
図2:インド債組み入れ完了時、JPモルガン新興国債券指数における予定組入比率
過去の実績は将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
2023年9月21日現在
*FARは「Fully Accessible Route」の略称で、2020年に導入された外国人投資家が特定のインド国債に制約なしに投資できる制度
出所:JPモルガン、HSBCアセットマネジメント
組み入れがもたらす影響
- JPモルガンが、幅広く新興国をカバーする新興国債券指数にインド国債を追加すると発表したことで、インドルピー建て債券の価格は一層上昇する可能性があります。
- 過去数週間、投資家が組み入れ発表を見込んでポジション調整をしてきたことからFAR国債は堅調に推移してきました。今後についてもマクロ環境に変化がなければ、国債利回りが低下する余地はまだ残されていると考えます。
- 米ドルが全般的に弱含む可能性や、5,940億米ドルに達するインド中央銀行の豊富な外貨準備高を勘案すると、今後数ヶ月間にインドルピーが上昇する可能性が高まっていると見ています。
- また、組み入れ発表で生じるポジティブな市場センチメントはインドルピーにプラスに働くと思われます。
- 指数への組み入れはインドルピーの国際化を促進する要因にもなると考えます。
- 長期的には、インド債券の利回りの優位性がグローバルでの配分引き上げを促すと予想しています。米国と中国の国債利回りがそれぞれ4.5%、2.7%なのに対し、インドの10年国債利回りは7.2%です。
- インド債券市場は大規模で流動性の高い市場であるにもかかわらず、これまで主要なグローバル指数や新興国指数に組み込まれたことはありませんでした。今回のJPモルガンが初となります。指数組入の期間中、インド債券市場には200億~220億米ドルの資金が流入する可能性があります。
- インド債券は、FTSE新興国市場国債インデックスなど他の主要指数への組み入れも検討されており、現在観察対象となるウォッチリストに入っています。
- HSBCでは、今回の組み入れはインド債券市場にポジティブな動きであり、インド債券がグローバル・ポートフォリオの価値を高める資産であることが示されるものであったと考えます。
過去の実績は将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
2023年9月21日現在
出所:ブルームバーグ、インド準備銀行、HSBCアセットマネジメント
インド債券がもたらす分散効果
- パフォーマンスを見ると、インド国債は新興国国債および世界国債を大幅に上回っています。
- 過去5年間のインド債券と世界債券の相関係数はわずか0.15、過去10 年間では0.10とさらに低く、グローバル・ポートフォリオの分散手段としてのインド債券の強さが示されています*。
- また過去10年間のインド債券と新興国債券の相関関係も0.29と低水準です* 。
過去の実績は将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
2023年9月21日現在
*2023年8月31日現在
出所:ブルームバーグ、JPモルガン、Markit、HSBCアセットマネジメント
当ページの留意点
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