なるほど新興国 2024年9月
2024年09月26日
要点
- 国際通貨基金(IMF)は7月に、本年のアジア新興国圏の成長率見通しを5.4%へと上方修正しました(前回の本年4月時点では5.2%)。インドと中国の見通し引き上げが大きく寄与しています。
- 為替では、ブラジルレアルがルラ政権による財政政策の不透明感の高まりから大幅に下落しています。株式では、インドが好調な企業業績を受けて大きく上昇している一方、中国は不動産市場の低迷を受けて下落しています。
- ブラジル:2024年4-6月期の成長率は、個人消費の拡大を受けて、市場予想の前年同期比+2.7%を大きく上回る+3.3%となりました。消費者信頼感はコロナ禍前の水準まで回復しています。力強い国内経済、目標を上回るインフレ率、弱含む通貨レアルを受けて、ブラジル中央銀行は9月の金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決定しました。
- インドネシア:インドネシアの2025年予算案では、国の長期的な成長のため、道路、鉄道といったハードのインフラから、教育、医療、社会保障といったソフトのインフラへの移行が重視されています。2025年の財政赤字の対GDP比見通しは2.5%に引き下げられました。目標を下回るインフレ率、安定してきた通貨ルピア、先進国における利下げ開始を受けて、インドネシア中央銀行は景気下支えに向けて、9月の金融政策決定会合で政策金利の引き下げを決定しました。
- インド:インド株式の時価総額は遂に5兆米ドルを突破。香港を追い抜き、日本に次ぐ第4位の規模となりました。新興国株式におけるインドのウェイトは近年飛躍的に拡大し、投資家にとり無視できない存在にあります。足元の予想株価収益率は、過去4年間の平均よりやや高い水準に位置していますが、今後も企業利益の高い伸びが見込まれていることから、当社ではこれは正当化されるものと考えます。
- 株式市場の長期展望:米国を中心に世界的に景気鈍化と政治的不確実性が見られるなか、値動きの荒い展開になる可能性があります。このため、ディフェンシブなアプローチが賢明と言えます。先進国市場では企業業績に下振れリスクがあり、留意が必要と思われます。新興国市場に関しては良好なマクロ環境を背景にポジティブに見ています。
- 債券市場の長期展望:米国の利下げ開始は世界の債券市場にとりプラスに働くと考えます。新興国ではインフレ鈍化傾向を背景に金融緩和への政策転換が多くの国で期待されており、現地通貨建新興国国債にとり好材料と言えます。
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