グローバル・インベストメント・アウトルック 2024年ミッドイヤー
はじめに
2024年の上半期は、特に金利見通しの変更を受け、大きなトレンドの変化が見られた。当社は、経済状況の多様化に伴い、中央銀行の政策優先順位にもばらつきが生じていると考える。特に注目すべきは、欧州とラテンアメリカでの利下げは、米国にて底堅い経済成長が見られる中で、米連邦準備制度理事会(FRB)が「長期にわたり高金利を維持」するという慎重な姿勢を表明していることと対照的である。
サービス部門のインフレがなかなか緩和されないことを受け、欧米の中央銀行は戦略を見直している。世界経済は「ソフティッシュ・ランディング(多少の景気減速や資産価格の下落が見られても、インフレは抑えられる)」に向けて舵取りを続けている。経済の底堅さは、堅調な労働市場と積極的な財政政策によって支えられてきた。労働市場の軟化と財価格のインフレ沈静化により、インフレは徐々に緩和傾向に向かうと当社では見ている。しかし、この道筋は、多極化が進む世界情勢の中で、ますます険しくなりつつある地政学的な状況の行方に依存している。
アジアや新興国への経済力のシフトはより顕著になり、過去30年間に比べ、経済の供給サイドはより多くの課題に直面している。その結果、インフレ率の上昇や潜在生産能力の低下を招く可能性がある。
保護主義的な政策が台頭し、各国が経済政策を競い合う時代において、投資家は、高まるボラティリティや各国間に見られる経済ダイナミクスの格差を勘案し、戦略を改めて見直す必要がある。
このような現状を踏まえ、当社では「ディフェンシブ・グロース」のスタンスを維持し、株式や債券については質と選別性に焦点を当てている。当社のアプローチの中核をなすのは、米国債や英国債の魅力的な利回りに注目した「利回りを活用する」という戦略である。同様に魅力的なのが世界の社債市場における投資機会である。スプレッドは縮小しているが、インカムゲインを追求する投資対象としては、投資適格債や高品質のハイ・イールド債に絞り込む必要がある。これは、金利変動リスクの低減にもつながる証券化商品にも当てはまる。
それとは別に、新興国における成長見通しは、グローバルに見て相対的に明るい。株式市場のバリュエーションは比較的安定しており、通貨はFRBの政策転換の恩恵を受ける可能性がある。新興国市場における各々の特異な市場動向はまた、ポートフォリオにおける分散を図る余地があることを示唆している。より具体的には、当社は引き続きアジアを重視している。中国の景気下支え政策により成長が安定化し、インドやインドネシアなどの国々では、構造的および循環的な経済成長機会が魅力的である。
長期的には、メガトレンド(人口動態、グリーンシフト、地政学など)の結果として、インフレ圧力が持続し、債券と株式の相関関係がさらに不安定になる可能性がある。
新興国では、国によってダイナミクスが大きく異なるため、地理的な細分化を通じて分散化と収益性の向上を図るべきである。投資家は、多極化する世界に対応し、実物資産や自然資本などのオルタナティブ投資など、成長を志向しながら賢明な分散投資を行う戦略を準備しておく必要がある。
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「地政学的要因が市場に与える影響が増大していることは、インフレのボラティリティの上昇や潜在成長率の低下など、新たな時代への移行を示唆している。」
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